その人らしさのテーマとなっている生活行為を大切に援助する Posted on 2012年7月13日2023年8月19日 by 管理者 HOME >コラム>森永 伊紀 氏 介護コラム 森永 伊紀 氏 ホームヘルパー全国連絡会 事務局 「母は85歳を過ぎても体はピンシャンしていましたが、『親しい友達は全部死んじゃったし、もう生きていたってしょうがないから、早く死にたい』と言うんです。じゃあ明日死ぬかって聞くと、『いや、今日はちょっとまだね』と言う。『ひじきと油揚げを煮ようと思っているから、あれを旨く煮て食べて死にたい』(笑)。『俺は将来この会社の社長になる』というのとは違うけれど、ひじきを旨く煮るというのも、やはり生きがいなんです。だから僕は「じゃあひじき煮なよ」と言って帰りました(笑)。(「えれくせんと」三浦朱門氏の文章の要約) 三浦さんのお母さんは、自分ひとりでひじきが煮れなくなったら「終わり」でしょうか。ヘルパーの援助を受けながら、ひじきを煮ることができれば、「終わり」にはなりません。高齢者の生活の中には、自分が自分らしく生きていくテーマとなる生活行為があります。その生活行為を、今日とどこおりなく行うことは、過去の自分と明日の自分を繋げる働きがあり、今日のような明日が来ること確信させます。高齢者が「生きる」とは、このような日常性の継続にあるのではないでしょうか。ホームヘルパーには、高齢者の多様で雑多な日常生活の行為の中から、その人の、生きていくテーマとなっている生活行為を見つけ出し、すでに失われている場合は、利用者と生活の中に手がかりを探して再生させ、又は、新たに創り出していく力量が求められます。私たちヘルパーが、利用者の「変化」という言葉を使うとき、「変化」を、なるようにまかせた結果としてではなく、「利用者の過去から明日に繋がる今日の生活行為を、利用者とヘルパーが協力して行う中で生まれてきたもの」として使いたいものです。 連載一覧 「女どおしじゃない大丈夫」 -折り合い・新しい自己の獲得を援助する- 2012年9月18日~ ヘルパーは「家族と同じ」 ~ に込められた利用者からのメッセージ 2012年8月10日その人らしさのテーマとなっている生活行為を大切に援助する 2012年7月13日 無料で体験する 資料を取り寄せる