これからの介護に対する利用者の質 Posted on 2013年12月14日2023年8月19日 by 管理者 HOME >コラム>佐藤 ちよみ 氏 介護コラム 佐藤 ちよみ 氏 一般社団法人TSK 代表 「介護」をしたり、されたりすることはどのように始まるのでしょう。加齢で、今までできていたことができなくなる。認知症で他者の世話にならなければ生活ができなくなるなど、これらは病気やけが、交通事故等、様々な要因によって、「介護」はスタートします。それも、これらは、多くが突然、前触れもなくやってくるのです。人は、その時初めて「これからどうなるんだろう?」という不安に正面から向き合わざるを得なくなります。しかしそれで間に合うのでしょうか。2000年、走りながら始めた介護保険制度も、2006年、介護予防がスタートし、予防給付と介護給付とに分割され、要支援1と要支援2が予防給付、要介護1~要介護5が介護給付とに選別されました。 そして、2015年をめどに、また改正となり、要介護度が要支援1と要支援2等の介護度が低い方々のサービスを各市町村事業に移し、特別養護老人ホームへ入所できる方の介護度を要介護3以上とする等、利用者にとってより厳しい介護環境となっています。しかしながら、このような介護保険制度の劣化を前にしても、まだ介護に縁のない方々は、気にもとめない。そう他人事なのです。国は地方分権を押し進め、権限(責任?)を国から都道府県や市町村に委譲しようとしています。その構想を顕著にしたものが「地域包括ケアシステム」と言えるでしょう。このシステムは、介護度が重度となってもなお、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを最後まで続けられる。そのためにも医療・介護・予防・住環境・生活支援を一体化し、提供することを目指しています。保険者である市町村や都道府県は、地域の自主性や主体性を重視し、地域の特性に合ったケアシステムを作り上げていくのです。もはや介護保険制度では「介護」からは「生活支援」が切り離される方向にすすみ、この「生活支援」は地域力で支援していかなければならなくなるでしょう。この地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位に想定・構築されています。これから介護を受ける利用者となる者、つまり我々は、①家族と親密になり、介護の在り方等を話し合っておく。②地域住民と付き合いを持ち、町内活動にも参加する。③行政情報を常に入手し、柔軟に対応できる。このようなことを心掛ける必要があるでしょう。介護者にも被介護者にも厳しい時代になったものです。 連載一覧 これからの介護に対する利用者の質 2013年12月14日介護支援専門員~質の格差が大きすぎるプロの世界~ 2013年11月11日プライドが持てる介護福祉士になろう 2013年10月19日 無料で体験する 資料を取り寄せる