通所介護計画書の基本と効率的な書き方のポイントを徹底解説!

通所介護計画書は、通所介護事業所を運営するときには必要不可欠な書類です。利用者一人ひとりに通所介護計画書を作成していなければ、通所介護事業所を運営することができません。しかし、通所介護計画書の作り方や書き方に悩んで、作成に時間が取られがちなこともあるでしょう。じつは、通所介護計画書は、ポイントをおさえれば効率的に作成することができます。この記事では、通所介護計画書を効率的に作成するポイントを解説します。 

通所介護計画書の目的を把握して正確に書類を作成

通所介護計画書とは、通所介護事業所が利用者ごとに提供するサービスをまとめた書類です。通所介護計画書により、利用者が通所介護サービスに望むことを明らかにし、事業所は利用者が必要とするサービスを提供することを約束します。

この通所介護計画書作成には4つの目的があり、これらの目的をしっかり把握することで正確な書類が作成できます。それぞれの目的について、詳しくみていきましょう。

基本報酬の算定をするため

通所介護事業者が基本報酬を算定するためには、通所介護の人員・設備・運営の基準を遵守しなければなりません。通所介護の運営基準には、「指定通所介護事業所の管理者は、利用者の心身の状況、希望およびその置かれている環境を踏まえて、機能訓練等の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した通所介護計画を作成しなければならない」と定められています。つまり、通所介護事業所は通所介護計画書を作成しなければ運営できず、基本報酬の算定もできないのです。通所介護計画書は、通所介護事業所を運営するうえで必要不可欠な重要書類といえるでしょう。

サービスの質の向上を図るため

通所介護事業所には、さまざまなスタッフがおり、日によって出勤する人も変わってきます。そのため、毎回同じ利用者に同じスタッフが付くことはできません。しかし、通所介護計画書には、利用者ごとに提供するサービスが記載されているため、これがあれば対応するスタッフが変わっても同じサービスを提供することができます。

また、通所介護計画書があれば、利用者の目標がどれくらい達成できているのかを評価することができます。定期的に評価することで、利用者の変化に応じたサービス内容を検討することも可能です。通所介護計画書の活用は、通所介護事業所全体のサービスの質の向上につながるといえるでしょう。

利用者および家族との信頼関係を構築するため

通所介護計画書を作成する際には、利用者や家族から要望や希望を聞き取ることになっています。そのため、通所介護計画書には、利用者や家族のニーズが反映されたケア内容が記載されています。また、作成された計画書には、必ず利用者や家族の同意を得なければなりません。これがあることで、利用者や家族は、「自分の希望に沿ったサービスを受けられる」「自分たちの要望に応えてもらっている」と感じられるでしょう。また、利用者や家族の同意を得た通所介護計画書があることは、利用者と家族が安心して利用できる通所介護事業所であるという証明ともいえます。このように、通所介護計画書には、利用者や家族と通所介護事業所の信頼関係を構築するという目的もあります。

ケアマネジャーとの情報共有を行うため

通所介護計画書には、通所介護事業所と(以下ケアマネ)の情報共有ツールとしての役割も持っています。通所介護計画書は、ケアプランに基づいて作成されるため、利用者や家族だけでなく、担当ケアマネにも発行されます。ケアマネは通所介護計画書を見ることで、通所介護事業所における利用者の状況が把握でき、サービス提供の量や内容が適当かどうかを判断します。そのため、通所介護計画書はケアマネにとっても重要な書類といえるでしょう。

通所介護計画書を作成する5つの手順を把握

通所介護計画書を作成するためには、5つの手順があります。それらの手順を把握することで、よりよい通所介護計画書が作成できます。それでは、それぞれの手順について、詳しくみていきましょう。

1.ケアプランから利用者の情報を収集する

通所介護計画書を作成するときには、まず、ケアプランから収集できる情報を記載しましょう。具体的には、以下のような基本情報が該当します。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • 要支援、要介護度
  • 日常生活自立度

病歴や運動時のリスクなどの情報は、ケアマネからもらう基本情報に記載されていることもあります。通所介護計画書を作成するときには、ケアプランだけでなく基本情報も確認してください。

2.利用者および家族から希望や足りない情報を聞き取る

ケアプランにない情報は、利用者や家族から直接聞き取って情報収集しましょう。具体的には、次の項目が利用者や家族から直接聞き取る情報となります。

  • 本人、家族の希望
  • 自宅での活動
  • 健康状態
  • ケア上での注意点、留意点

3.通所介護計画書を作成する

本人、家族およびケアプランからの情報収集が終わったら、得た情報をもとに利用目標やサービス提供内容を決めます。利用目標は、短期目標と長期目標があり、短期目標は概ね3ヶ月で達成できること、長期目標は概ね6ヶ月で達成できることを設定しましょう。サービス提供内容には、目標とケアの提供方針、内容そして1日の流れなどを記入します。特記事項などがあれば、もれなく書いておきましょう。

4.本人および家族に説明し同意を得る

通所介護計画書が完成したら、利用者と家族に計画書の内容を説明します。利用者や家族が理解できるよう、わかりやすい説明を心がけ、質問できる時間も設けましょう。利用者や家族の同意が得られたら、利用者本人の署名や捺印をもらいます。家族が代筆される際は、代筆者の署名ももらいましょう。署名や捺印された通所介護計画書は、控えを利用者や家族に渡して、原本は事業所で保管します。担当ケアマネにも忘れずに渡しましょう。

5.定期的に評価を行う

通所介護計画書を作成し、サービスの提供を開始した後は、定期的に評価を行います。評価をすることで、現在の目標やサービス提供の内容が適切かどうかを判断します。そして、必要に応じて目標や計画を見直し、より利用者に合わせた通所介護計画書にしていきましょう。

ここまで紹介した5つの手順は、あらかじめ利用者や家族から得た情報、過去の計画書を一元的に管理しておくと、不備のない通所介護計画書が作成できます。

通所介護計画書は項目別のポイントをおさえる

通所介護計画書に記入する項目は、大きくは4項目に分けられます。それぞれの項目の内容がケアプランの内容に沿う必要があるため、ポイントをおさえて記入することが大切です。4つの項目別に、書き方のポイントと記入例をみていきましょう。

基本情報

基本情報には、利用者本人に関わる直接的な情報を記載します。この基本情報は、前述のように、ケアプランから記載できるものと、利用者や家族から聞き取るものに分けられます。それぞれに該当する内容と記載例は次の通りです。記載例は、主な項目のみ紹介しています。

  • ケアプランから記載できる基本情報
    氏名・性別・生年月日・日常生活自立度・健康状態・医学的リスク・通所介護利用までの経緯など
    (記載例)
    通所介護利用までの経緯:今年5月に転倒し腰椎圧迫骨折と診断。自宅療養となったが、痛みが続いている。痛みで動かないことが増え、寝ていることも多くなり、活気がなくなってきている。
  • 利用者や家族聞き取る情報
    本人、家族の希望・自宅での活動など
    (記載例)
    本人の希望:痛みがなくなって、前のように動けるようになりたい。趣味だった編み物を再開したい。
    家族の希望:以前のように動けるようになってほしい。社交的な性格なので、人と交流する機会を持ち、以前のように元気に過ごしてほしい。
    自宅での活動:以前は、料理や洗濯などを行っていたが、今は痛みがあり家族が代行している。

通所目標と期間

通所目標は、ケアプランに記載された「通所を利用する目的」に沿って設定します。
短期と長期の目標記入例は次の通りです。

  • 短期目標
    他の利用者と交流できるようになる
    心身機能の維持・向上を図り、安定した座位姿勢がとれるようになる
  • 長期目標
    座ってできる家事を行えるようになる
    趣味の編み物が再開できる

サービス提供内容

サービス提供内容には、目標を達成するために提供するサービス内容を記入します。サービス提供内容は、利用者が通所介護を利用する目的を理解したうえで、必要なサービスを記載するようにしましょう。ここでは、入浴におけるサービス提供内容の記載例を紹介します。

【サービス提供内容記載例】
更衣は自分でできるよう声掛けなどの支援を行う。洗髪・洗体は手の届くところは自分で行ってもらい、手の届かないところは介助する。
評価月には、評価欄に実施状況と達成状況を記入します。効果や満足度などを記入する欄には、どのような効果があったのか、利用者がどういった点に満足しているのかなどを具体的に記入しましょう。

【評価記載例】
上衣は問題なく自分で着替えられています。腰の痛みがあり、ズボンを足に通すときには手が届かないため、介助を行っています。洗体は手の届く範囲が増えて膝くらいまでであれば、自分でしっかりと洗うことができています。

特記事項

特記事項には、本人の趣味嗜好や通所介護利用時に気を付けるべき注意事項を記載します。具体的には、上記の項目に該当しない内容で知っておいてほしいことを記入しておくとよいでしょう。

【特記事項記入例】

  • もともと物静かで人見知り。集団に慣れるのに時間がかかる。
  • 若いときから偏食家で食事量も少ない。特に青魚は過去にあたったことがあるため、青魚禁止。

なお、ここまで紹介したこれらの情報も、あらかじめ記載する項目やテンプレートがあれば、計画書を作成するたびに悩むこともありません。また、介護ソフトがあれば、目標の評価月を忘れることなく、簡単に作成することができます。

通所介護計画書の作成は介護ソフトで効率化できる

通所介護計画書は、ポイントをおさえて作成することが大切です。介護ソフトを導入すれば、より効率的に作成することができ、サービスの質向上にもつながっていくでしょう。なかでも、「介舟ファミリー」はICFのガイド機能が搭載されているので、質の高い計画書を作成することができます。また、短期目標の終了時期もお知らせしてくれるので、作成し忘れも防ぐことができます。ぜひ、介護ソフトを導入し、通所介護計画書の作成を効率化しましょう。

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