介護業界のICT導入補助金制度!内容、金額、導入後の効果を紹介

介護現場へのICT導入支援事業の一環として、厚生労働省が打ち出した補助金制度。「補助金制度があることは知っているけれど、具体的な内容がわからない」という管理職も多いのではないでしょうか。
この記事では、ICTを導入した介護事業所への補助金制度の概要、補助金の金額、そして、ICT導入支援事業を利用した事業所はどのように変わるのかについて解説します。

介護現場のICTとは

厚生労働省は介護現場で働く人たちの負担を軽減するため、ICT補助金を交付して、介護現場のICT化を支援しています。では、ICT化とは何を指すのでしょうか?

ICTとは何か?

ICTとは「Information and Communication Technology」の略称で、「情報通信技術」という意味です。
例えば、インターネット検索やSNS、メールのやりとりなどはICTを活用したコミュニケーションです。最近では、学校のオンライン授業、医師によるオンライン診療、企業におけるテレワークなど、ICTの活用場面は広がっています。もちろん、介護現場でもICTの活用が始まっています。

介護現場でのICT導入で期待できる効果

ICTを導入すると、以下のような効果が期待できます。

  • 記録業務をタブレット端末などで行うことで効率化が図れる
    テンプレートや単語登録機能を活用することで、記録にかかる作業時間を短縮することが可能です。また、場所を選ばず作業ができるため、ちょっとした隙間時間などを利用して書類作業を進めることもできるようになります。
  • インカムなどを利用することで管理者が複数スタッフへの指示をタイムリーに発信可能
    例えば、通所介護施設において、管理者からスタッフへ「そろそろ利用者さんの帰宅時間ですので、スタッフはフォローお願いします」といった指示を的確に出すことができるため、業務の進行が円滑になります。
  • 業務データのペーパーレス化
    紙の書類を保管する必要がなくなり、省スペース化につながります。また、書類の破損や紛失の心配もなくなります。
  • 介護報酬の請求作業量の軽減

    介護ソフトを活用することで介護記録・情報共有・請求業務まで一気通貫で行うことができるため、大幅な作業時間の短縮につながります。記録ソフトと連携することで請求ソフトへのデータ入力が不要になり、手入力によるミスを回避できます。

  • 介護ロボット・センサーを導入することで、スタッフの身体的・精神的負担を軽減
    慢性的な人手不足の介護業界にとって、介護業務の一部を任せられる介護ロボットやセンサーの導入はもはや必要不可欠です。管理者としてはスタッフの負担軽減の観点からも、導入の検討は避けられないでしょう。

現在、いずれの機関・施設からでも利用者の情報を確認できるように、医療現場と介護業界などの情報を標準仕様にする取り組みを厚生労働省が率先して行っています。このような動向をかんがみても、介護現場でICT化の普及は加速度がつくことが予測されます。

ICT導入には補助金が使える条件や具体的な金額は?

ICTの導入には一定のコストがかかります。政府は、ICT導入支援事業の一環として、補助金制度を設けています。

補助金制度とは?

ICT補助金とは、厚生労働省が推進するICT導入の補助金制度であり、令和4年(2022年)度の地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)の予算は137億4千万円が計上されています。ICT補助金の交付を受けるためには申請が必要で、受付は各自治体で行っています。また、補助金を受け取るには以下の4つの要件を満たす必要があります。

  • LIFEによる情報収集・フィードバックに協力
  • 他事業所からの照会に対応
  • 導入計画の作成、導入効果報告(2年間)
  • IPAが実施する「SECURITY ACTION」への宣言

支給される補助の金額

【補助可能な金額】

事業所規模(職員数)に応じた上限額が下記の通りに設定されています。
職員1人~10人 :100万円
職員11人~20人:160万円
職員21人~30人:200万円
職員31人以上  :260万円

また、補助割合は導入費用の2分の1を下限に都道府県ごとに定められています。
ただし、以下の条件のいずれかを満たせば、補助金額の下限を導入費用の4分の3にすることも可能です。(各都道府県により異なる)

  • 事業所間でケアプランのデータを連携し、負担軽減を実現
  • LIFEの「CSV連携仕様」を実装した介護ソフトで実際にデータ登録を実施
  • ICT導入計画で文書量を半減
  • ケアプランデータ連携システムの利用

補助金を受けるための申請方法

ICT導入支援事業の受付窓口は各都道府県の自治体になっています。申請方法や募集要項は各自治体のウェブサイトで確認してください。
ICT導入支援事業の実施自治体数は、令和元年(2019年)度の15県から、令和2年(2020年)度には40都道府県に増加し、令和3年(2021年)度には、すべての都道府県で実施されました。

補助金制度の対象となる導入費用

  • 介護ソフト(ケアプラン連携標準仕様)
  • 情報端末……タブレット端末 スマートフォン端末 インカム等
  • 通信環境機器……Wi-Fiルーター等
  • その他運用経費……クラウド利用料、サポート費、研修費、他事業所からの紹介対応経費、バックオフィスソフト(勤怠管理、シフト管理等)等

ただし、ICT導入支援事業の支援対象や金額は、毎年見直しが行われています。次年度は限度額や、補助対象が変わる可能性も高いので、厚生労働省や地方自治体のウェブサイトで確認しましょう。

ICT導入支援事業による効果

ICTを導入した事業所における効果を見てみましょう。

厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課が発表した「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ」によると、ICTを導入した6割以上の事業所が、以下のような効果があったと回答しています。

  1. 直接ケアにあたる時間が増加した
  2. 支援の質が上がった
  3. 業務上の単純ミスが減った
  4. 勤務態勢が改善された
  5. 業務管理が効率化された
  6. 間接業務の時間が削減された

情報の記録・入力や各種会議などの間接業務時間の削減について、92%の事業所が削減されたと回答しました。介護などの直接ケア時間の増加については、68.7%の事業所が増加したと回答しています。

入力などにかかる事務作業が減り、介護に使える時間が増えたといえるでしょう。

補助金を活用したICT導入で介護の質を向上させよう

介護現場での業務軽減に大きく役に立つICT。導入することで、スタッフの間接業務に携わる時間が減り、本来の業務に集中する時間が増えます。それは、利用者への高品質のサービスを提供することにもつながります。

介護現場のICT化は政府も推進しているため、これから加速することが見込まれます。施設の運営責任者としては、この機会に、補助金制度を活用した導入を検討するプロジェクトを立ち上げるとよいでしょう。

なかでも、介護ソフトの導入を検討している事業所には、ICT補助金の補助対象になっている「介舟ファミリー」がおすすめです。記録・情報共有・請求業務を一気通貫で行うことができるので、転記ミスの防止だけでなく、ダブルチェックやトリプルチェックも不要になります。スタッフの間接業務の時間を短縮できるでしょう。ぜひご検討ください。

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