【第3章】 Q.O.Dと専門職の役割(よりよい死) Posted on 2014年10月14日2020年2月19日 by kaida HOME >コラム>稲葉 敬子 氏 稲葉 敬子 氏 現在の日本の医療制度の中では、治療をしない患者は一般病院にはいられない。したがって「無駄な延命治療は受けたくない」人は、病院で死を迎えることは難しくなる。後は、施設か在宅かということになるが、介護施設はおいそれとは入れず、在宅では家族に看取るだけの介護力がない場合が多い。そこで必要とされるのが、地域ケアシステムの確立であり、在宅での専門職の存在である。「死に行く人の介護」を学ぶ受講生の中に「私は死に行く人のお世話など、怖くてできません」という人がいる。そんな時「死に行く人ではなく、その方がよりよく生き切れるように、苦痛をとり少しでも楽になるためのお手伝いはできるでしょ」というと、納得する。死を特別なものと忌み嫌うのではなく、自然の摂理なのだと素直に受け止めることが、医療・介護の専門職に求められる一番大切なことではないだろうか。その上で、家族を励ましながら、その人らしく「生」をまっとうするお手伝いをすることだと思う。そうはいっても、在宅で専門職が24時間見守っているわけにはいかず、その間の家族の心理的負担は計り知れないものがある。そこで、在宅とはいえ自宅ではなく、例えば、地域ケアシステムの一環として、中学校区に一箇所くらい「看取りの家」を設置し、医師と連携しながら、医療・介護の専門職が常駐する。もちろん、側には、家族やご近所の親しい人などが交代でいつでも出入りできる、そんな場所があれば、家族はいざというとき安心して病院から引き取り、本人の望むようなQ.O.D(よりよい死)を迎えさせてあげることができるのではないだろうか。医療・介護両方の資格を持つものとして、地域の中にそのような施設を設置できるよう微力ながらお手伝いできればと念じている。 連載一覧自らの専門性を見つめなおし、国民のライフパートナーを目指そう! 2013年4月9日多死社会に向けて訪問看護師が、死に場所を求める人たちの受け皿になるのだ 2013年3月11日80歳胃がんの末期で 2013年2月20日チームワークの良さが多職種連携に繋がる 2013年1月21日私憤を公憤に ケアマネよ、団結しよう!!~その3~ 2012年12月17日私憤を公憤に ケアマネよ、団結しよう!!~その2~ 2012年11月26日私憤を公憤に ケアマネよ、団結しよう!!~その1~ 2012年10月19日「女どおしじゃない大丈夫」 -折り合い・新しい自己の獲得を援助する- 2012年9月18日~ ヘルパーは「家族と同じ」 ~ に込められた利用者からのメッセージ 2012年8月10日その人らしさのテーマとなっている生活行為を大切に援助する 2012年7月13日<<1...18192021222324>> 体験版申込 資料請求